「勝てていたかも」。20年前、伊達公子は女王グラフを追い詰めた (5ページ目)

  • 長田渚左●文 text by Osada Nagisa photo by TISCH(takahashi office) 小菅孝●ヘア&メイク hair&make-up by Kosuge Takashi 西尾妹子●スタイリング styling by Nishio Maiko

――孤高でしたか?

「そうですね。自分の器や若さもあって、好きだったテニスの練習も楽しくなくなり、勝っても嬉しくないし、勝つのも当然だという期待も強くて、ランキングは上がっていきましたし、試合は勝ちたいけど......一方で、勝ちたくないなぁみたいな自己矛盾もあって」

――勝てば試合が続いて、日本に帰れなくなるのがつらいということですか?

「アスリートにとって"強い"イメージは絶対不可欠ですけど、苦しかったですね。スケジュールが3日空くと、日本に帰っていましたから」

(つづく)

【profile】
クルム伊達公子(くるむ だて・きみこ)
1970 年9月28日、京都府生まれ。両親に連れられて、6歳でテニスを始める。テニスの名門・園田学園を卒業と同時に、プロに転向。WTAツアーで7勝(シング ルス、当時)、世界ランク最高4位、全豪、ウインブルドンベスト4進出など輝かしい記録を残すも、26歳(世界ランク8位)で引退する。その後は他競技を 楽しみつつ、子供向けのテニス教室など、普及活動に力を入れていたが、2008年、37歳で現役復帰を宣言、2009年にはWTAツアーを制し、歴代2位 の年長優勝記録を持つ。現在も現役続行中。所属はエステティックTBC。

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