マッケンローがメンタル強化した
ラオニッチは、フェデラーに勝てるか

  • 神 仁司●文・写真 text & photo by Ko Hitoshi

「もちろんミロシュが、ビッグサーブを持っているのはわかっていたけど、彼のネットプレーに本当に感心した。ボレーのミスが本当になかった」(クエリー)
 
 クエリーに対してネットに出続けて、プレッシャーをかけ続けたラオニッチは、準々決勝で、サーブ&ボレーを42回試みて33回ポイントにつなげ(79%成功)、ベースラインのプレーからは47回ネットに出て35回ポイントにつなげた(74%成功)。これだけ高い確率でネットプレーを成功させたラオニッチに、クエリーが重圧を受けたのも無理はない。

 そして、このネットプレーの成功はグラスシーズンに指導を仰いだジョン・マッケンローとの取り組みがうまくいっている証しに他ならない。
 
 ウインブルドンが始まってからは、マッケンローには地元テレビ局BBCの解説の仕事があるため、毎回練習に顔を出すことはできない。ラオニッチがナンバー1コートでプレーをしていたときは、センターコートで同時進行のもうひとつの準々決勝をマッケンローが解説していた。
 
 だから、ラオニッチはマッケンローとよく電話で連絡を取り合って、助言してもらっている。ウインブルドンが始まってから、マッケンローはネットプレーの技術だけでなく、ラオニッチの試合へ臨む姿勢にも注文をつけている。前向きな仕草や表情をして、より大きな存在感をアピールし、今までとは違うラオニッチを見せることが大切なのだという。これが積極的なネットプレーにもつながり、高い成功率を導いている。ラオニッチは技術や戦術だけでなく、自分の印象にも注意を払いながら試合を進め、好結果につなげてきたのだ。

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