錦織圭の勝機は「スライス」にあり。
初のベスト8をかけチリッチ戦へ

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki  photo by AFLO

 安堵と満足感の入り混じった表情で、試合直後に一気にまくしたてたのは、コーチのダンテ・ボッティーニである。

「スライスは、次の対戦相手にも有効だからね。次の試合でも、必ず必要になってくるショットだ」

 勝利の直後であるにもかかわらず、コーチの照準はすでに、次の相手に定められているようだった。

 その次なる対戦相手とは、クロアチアのマリン・チリッチ。錦織同様、ここまでの3試合で1セットしか落とさずに勝ち上がっている、今大会の第9シードである。

 チリッチといえば、2014年の全米オープン決勝で対戦し、錦織が敗れた印象があまりに強い選手だろう。ただ実際は、両者はその後も2度対戦し、いずれも錦織が勝利を収めている。

 通算11度目となる錦織との試合を控え、1歳年長のチリッチは「楽しみだ」と言った。

「僕と圭は、ツアーレベルでプレーするようになったのも同時期で、ライバルと呼べる存在だ。何度も対戦しているので、お互いのプレーはよくわかっている。ただ、グランドスラムでの対戦は全米の決勝戦以来だし、芝で戦うのも初めて。お互いにとってチャレンジであり、とても重要な一戦になるはずだ」

 さらに、"芝"というコートサーフェスが両者に与える影響について、チリッチは次のように予測している。

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