相手が打つよりも先に動く。錦織圭の頭脳的な「サーブ誘導術」 (4ページ目)

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki  photo by AFLO

 試合を通じて100本のサーブを見てきたなかで、スピードにも慣れた錦織の適応力、そして高い技術が、ツアーきっての剛腕サーバーを凌駕した瞬間――。最後も錦織のリターンが相手の足もとに刺さり、まるでガンマンの決闘のような2時間10分の「サーブ対リターン」の戦いに終止符が打たれた。

「第3セットで、タイブレークに行かずに勝てたのが特によかった」

 獲るべき場面でブレークした事実に、錦織は高い自己評価を与えた。

 ただし、不安材料がないわけではない。

 ひとつは、痛めていた脇腹の状態が、まだ万全ではないこと。この日も第3セットに入る前に、メディカルタイムアウトを取った。

 さらには、打ち合いとなる場面が少なかったために、ストロークでリズムを作れずミスが多かったことも反省点。特に錦織が留意したのが、ブレークした直後にブレークされたことだった。

「ストロークのエラーが、出てはいけないところで出た。特に、ブレークした後にブレークバックされたことが2回もあった。それは、芝では絶対に避けなくてはいけないところなので、そこの集中力、そしてストロークの精度を上げていきたい」

 快勝といえる勝利にも気を緩める様子はなく、錦織は次の試合に向けての修正点を列挙した。

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