松岡修造いわく「相性は悪くない」。錦織圭が苦手な芝を克服するカギ (2ページ目)

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki  photo by AFLO

 対して、クレーで「.914」という驚異の勝率を誇るラファエル・ナダル(スペイン)は、芝では「.773」まで数字が落ちる。このように、一部の例外はあるものの、クレーと芝の得手・不得手は、"トレードオフ"の関係になりやすい。

 そして錦織圭であるが、彼のサーフェス別勝率は、クレーが「.718」、ハードは「.688」、そして芝は「.581」。もったいぶって言うまでもなく、数字的には、芝がもっとも苦手なサーフェスだ。

 バウンド後にボールが滑るように低く伸びる芝のコートでは、高速サーブや爆発力ある強打の持ち主、あるいはスライスを多用する選手が活躍しやすい。錦織のように、リターンとラリー戦で主導権を握りたい選手にとっては、リズムが掴みにくいコートである。また足もとが滑るため、足運びにも慣れや適性が求められる。錦織も芝の難しさとして、「サーブがいい選手が相手だと、なかなか簡単に返せない」こと、そして「自分の持ち味であるフットワークが生かせない」ことを挙げていた。

 また、最近の錦織の発言で興味深かったのは、「芝に入ると、自然と敵がなんか強く見える」というものである。

「クレーで元気のなかった選手も、サーブとストロークの爆発力があれば、急に強くなれるので」というのが、その理由だ。

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