マルチナ・ヒンギス、35歳。20年前に歴史を変えた地、全英へ帰還す (3ページ目)

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki  photo by AFLO

 いきなり3大会連続優勝の好スタートを切ると、その後もウインブルドン、全米オープン、さらに今年1月の全豪オープンを制してグランドスラム3大会連続優勝。その間に「41試合連続勝利」という、とてつもない快進撃も見せつけた。ミルザとのペアは現在、チームとしてのダブルス・ランキング1位。個人でも、ヒンギスはミルザと並んでダブルス・ランキング1位タイである。

 なお、この激動の20年の間にヒンギスが演じた役目として、日本のテニスファンにとって忘れがたいのは、1996年のWTAツアー最終戦の2回戦で、「伊達公子の引退試合の相手」を務めたことだろう。当時16歳になったばかりのヒンギスは、すでに貫録すら漂わせる世界の2位。6-1、6-2のスコアで伊達のキャリアに終止符を打った天才少女は、試合後の握手の際、「第2のキャリアにグッドラック」と伊達に声をかけたのだという。

 このときヒンギスが言った「第2のキャリア」とは、ふたたびコートに戻る日を指したわけではないだろう。それでも伊達は、突然の引退から12年後の2008年3月に現役復帰を宣言し、周囲を驚かせた。そしてヒンギスもまた、2度の引退を挟んでコートに戻ってきたのは、前述の通りである。

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