全仏初優勝。正しかった、新女王ガルビネ・ムグルサの「選択」 (3ページ目)

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki  photo by AFLO

 長年、彼女を悩ませた国籍問題にケリをつけたのは、2014年末のこと。熟考の末に選んだのは、テニス大国・スペイン。以降はフェドカップ(女子国別対抗戦)でもエースとして、"母国"のために尽力する。スペインのフェドカップ監督は、全仏準優勝やウインブルドン優勝の実績も持つコンチタ・マルティネス。人望厚いスペインの先達は、自らの経験に根ざしたさまざまなアドバイスや英知を、若いムグルサに授けてくれた。

 拠点、プレースタイル、そして国籍......。それら選び取ってきた数々の選択が相乗効果を生み、ひとつの結実を見たのが、昨年のウインブルドンである。「芝には苦手意識がある」と言いながらも、アンジェリック・ケルバー(ドイツ)やキャロライン・ウォズニアッキ(デンマーク)ら強豪を破り決勝へ。頂上決戦ではセリーナ・ウィリアムズに敗れたが、女王と真っ向勝負の激しい打ち合いを披露し、"次代の女王候補"と目されるまでになった。

 しかし、ウインブルドン準優勝後は、一気に高まる期待を重荷に感じたか、苦しい時期も経験する。注目を集めた全米オープンでも、2回戦での早期敗退。そこで昨年9月に、ビクトリア・アザレンカ(ベラルーシ)を全豪オープンの頂点に2度導いた、サム・シュミックをコーチに雇った。

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