ジョコビッチの生涯グランドスラム達成が「A・マリー戦」である必然 (5ページ目)

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki  photo by AFLO

「ノバク、今日は君のための日だ。12ヶ月の間に4つすべてのグランドスラムを制するなんて、本当に素晴らしい偉業だ。次にいつ起きるかはわからない、貴重な出来事だよ。だから、それを目撃できたファンは本当に幸運だと思う。

 僕はと言えば、負けた気分は最悪だよ。でも、今日の歴史の一部でいられることを、誇りに思っているんだ。だから......おめでとう、ノバク」

 すべての事象は、理由があって起きるのだと、ジョコビッチは言った。ならば、過去3度まで全仏決勝で敗れたのも、この栄光の瞬間を、生涯のライバルと迎えるためだったのかもしれない。

 表彰台の一番高いところに立ち、ジョコビッチが銀のカップを掲げる。朝から空を覆い続けてきた雲はいつの間にか晴れ、明るい日差しが、史上8人目のキャリア・グランドスラマーを照らしていた。

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