ジョコビッチの生涯グランドスラム達成が「A・マリー戦」である必然 (2ページ目)

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki  photo by AFLO

 アンディ・マリー(イギリス)――。

 誕生日が1週間しか違(たが)わぬ世界2位のスコットランド人とジョコビッチは、ふたりが11歳だった18年前に初めて対戦した。その後、戦いの場を世界最高峰の舞台に移した後も、両者は33度の対戦を重ねている。

「11歳のときに出会った僕らが、その後もずっと、こうして競い合っている。もしあの少年時代に、『将来ふたりで、テニス界でもっとも価値あるタイトルをかけて戦う』ことを約束する契約書があったとしたら、僕らは迷わずサインしたはずだ」

 決勝戦を控えた会見で、ジョコビッチは長年のライバルとの34度目の対戦に向け、感慨深げにそう語った。

「ノバクにとっては、生涯グランドスラムをかけた大会。僕も、全仏初優勝がかかっている。こんな機会が、果たしてあと何度訪れるのかわからない。だから......、お互いに素晴らしいプレーができることを願っているよ」

 試合前に口にしたこの言葉を、マリーは決勝戦の始まりと同時に実現する。ジョコビッチに向けられた大声援に、反骨精神を刺激されただろうか? 普段はやや守備的なマリーが、このときは攻めた。深く打ち込む強打で相手を押し込み、ネットに出てボレーも決める。時速200kmを軽く超える高速サーブも、効果的にコートに刺さった。第1セットは、6-3でマリー。

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