錦織圭の今季前半。過去5年を比べてわかる「クレー」での急成長 (2ページ目)

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki  photo by AFLO

 今季も錦織は、昨年と同じ「38」の試合を重ねて、全仏オープンを迎えていた。棄権や大会欠場もゼロ。しかも、その内訳を見ていけば、昨年よりも"高値安定"していることが見て取れる。特に顕著なのがマスターズ1000の戦績で、マイアミの準優勝を筆頭に、参戦した4大会すべてでベスト8以上に進出。「自分のテニスが、去年や一昨年よりも確実によくなっている。レベルアップしているなと感じます」と、錦織本人も自身の成長を自覚しながらの歩みであった。

 ただ、「ベスト4や決勝の可能性もある」との自信を胸に挑んだ全仏では、地元の大声援を受けたリシャール・ガスケ(フランス)に行く手を阻まれ、4回戦で敗退。全仏を終えた時点の総試合数では、ベスト8入りした昨年よりひとつ減る結果となった。

 約10ヶ月半に及ぶテニスの長い長いシーズンは、全仏を終えた現時点で、ようやく折り返し地点に辿り着いたことになる。グランドスラム4大会のうち2大会を戦い終え、出場を義務づけられているマスターズ大会も、半数の4大会が終了。ハードコートと赤土(クレー)を中心とした戦場も、芝を経て、ふたたびハードへと移り変わる。

 そして昨年の錦織は、ここから失速した。ウインブルドン前哨戦のハーレ大会は、ふくらはぎを痛め準決勝で途中棄権。不安を抱えたまま迎えたウインブルドンでは、初戦勝利後に2回戦を戦わず棄権した。

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