全仏4回戦の明暗。ガスケにあって錦織圭に欠けていたもの (4ページ目)

  • 神 仁司●文・写真 text & photo by Ko Hitoshi

 ランキングは客観的な事実で、強さのバロメーターのひとつではあるが、6位の錦織が12位のガスケに勝つ保証などどこにもない。ましてやグランドスラムでは、他のツアー大会と違って、ガスケのように多くの選手が目の色を変えて戦ってくる。その中で自分のプライドをかけた執念こそが、最終的に勝利を引き寄せることができ、グランドスラム第2週での困難な戦いを勝ち上がって、優勝へ辿り着く原動力となるのだ。

 グランドスラムの深淵に触れたような戦いを経験できたことは、錦織にとってプラスになるだろうが、問題は今回の敗戦から、彼が何を学ぶか、だ。

 単なるテニスのテクニックやフィジカルだけの問題ではない。26歳の錦織がグランドスラムでの勝利への執念を身につけることができなければ、厚い壁は破れない。それができなければ、前哨戦のマドリードやローマでいい成績を挙げつつ、グランドスラム第2週に入ってもテニスのクオリティーを上げていくノバク・ジョコビッチ(1位)やアンディ・マリー(2位)の背中はますます遠くなっていく。

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