2016.05.31

全仏4回戦の明暗。ガスケにあって錦織圭に欠けていたもの

  • 神 仁司●文・写真 text & photo by Ko Hitoshi

 錦織がガスケに連敗していた時は、バッククロスの中速の深いラリーに付き合いすぎて、ポイントを奪われたことが多かった。今回もガスケの勝ちパターンを嫌って、錦織がバックハンドのダウンザラインで展開しようとしたが、ことごとくミスになった。

 「第1セットを取ったのが、とても重要だった」と語るガスケは、第3セットを錦織に奪われたものの、パリっ子の応援に後押しされながら、最後まで試合の流れを手離さなかった。

「自分の調子が悪かったのが一番の原因。少し焦ってしまって、ミスもすごく多かった」

 錦織がそう振り返ったように、得意のリターンでもミスが多く、ガスケのファーストサーブに対するリターンのポイント獲得率は28%。セカンドサーブに対するポイント獲得率は35%で、リターンを攻撃の起点にできなかった。結局、ガスケがミスを19本に抑えたのに比べ、錦織はミスを45本も犯した。

 29歳のガスケは、13回目のローランギャロスで初のベスト8入りを果たした。地元フランスで負けられない気迫を前面に出し、あまり見せたことのない鬼気迫る表情で、錦織と対峙した。

 昨年の全仏準々決勝で、錦織がジョーウィルフリード・ツォンガ(7位)に負けたときもそうだったが、今回のガスケのように勝負への執念を見せてくる相手に対して、錦織はそれを跳ね返すのが得意ではない。