「大会中もトレーニング」。フィジカル強化の錦織圭が全仏3回戦へ (2ページ目)

  • 神仁司●文・写真 text & photo by Ko Hitoshi

 この軌道修正を「なかなか男としては、つらい判断でしたけど(笑)。どちらかというと、思い切りバンバン打って勝てたら一番いいです」と冗談も交えながら振り返ったが、もともと戦術眼に長けている錦織は、相手によって戦い方を柔軟に変えていくのを得意としている。錦織がワールドテニスツアー屈指のショットメーカーといわれているゆえんでもある。

 第2、3セットに入ると、錦織は得意のフォアハンドストロークやバックハンドストロークのダウンザラインを思い切り打ち込み、実力の差を見せつけて、ストレートで2回戦を勝ち上がった。

 今回のローランギャロスで、錦織は1回戦も2回戦もストレート勝ち。捨て身で立ち向かってくる下位選手に対し、トップ10プレーヤーとしての安定感、格の違いを感じさせる。

「グランドスラムは(試合が)1日おきで休めるので、フィジカルも2日後には大丈夫だと思います」と錦織が語るように、大会の序盤戦では、試合を短くして疲労を蓄積させないようにし、ギアを上げるべきグランドスラム第2週での試合に臨むのが、上位シード選手としての理想的な戦い方だ。

 また、ロビー大橋トレーナーと取り組み、トーナメント中にもトレーニングを取り入れて、フィジカル強化に取り組んでいる効果も少しずつ出ているのかもしれない。

「自然とトレーニングしながら、大事な筋力だったり、よりストロークやサーブにつながるいい体が作れていると思う。ケガも少なくなっている。しっかりウォームアップしたり、試合後の細かいトレーニングをしたりすることによって、体も温まるし、ケガ予防にもなる」

 錦織は手応えを感じている。フィジカルの充実がトップ10プレーヤーらしいハイレベルにある錦織のテニスを支えている。

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