杉山愛以来のクレーでの快挙。土居美咲の全仏オープンは期待大! (2ページ目)

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki  photo by AFLO

 クルム伊達が、この伝統あるローマ大会を避けていた理由は、「クレー=赤土」というコートの特性にある。世界4位まで上り詰めた彼女を"世界の伊達"と言わしめた最大の武器は、ボールの跳ね際をカウンターで叩く「ライジングショット」――。欧米勢にパワーで劣る小柄な彼女が、世界のトップたちとしのぎを削るなかで磨いた"伝家の宝刀"である。

 ただ、相手のパワーを利用し、直線的に放つカウンターショットは、砂の粒に球威を削がれるクレーでは途端に効力が薄れてしまう。クルム伊達が「クレー嫌い」を公言し、また彼女同様にカウンターを得意とする多くの日本人がクレーに苦しめられてきたのも、同じ理由からだ。

 このように、多くの日本人が鬼門とするクレーについて、「苦手意識はない。年々よくなっているし、自分のなかでは楽しくプレーできている」と笑顔で言うのが、土居である。

 とはいえ土居も、日本国内でハードやオムニ(砂入り人工芝)中心に育ってきた選手。とりわけクレーに対し、アドバンテージがあるわけではない。それでも、彼女がクレーを「楽しい」と思える理由は、「自分のショットが生きるコート」だと感じているからだ。

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