錦織圭とジョコビッチ、2人が語る「勝者と敗者を分けたもの」 (5ページ目)

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki  photo by AFLO

 相手を7本上回る39本のウイナーを決め、相手と同じ34のエラーしか犯さぬプレーを見せながら、今回もわずかに手が届かなかった、ジョコビッチからの勝利......。それでも、1週間前のマドリードで得た攻略の予感は、間違いなく、確信に変わったはずだ。

 なにしろこの日、ジョコビッチと錦織は181分戦い、両者合わせて5067メートルを駆け、223のポイントをコートに刻み、そして勝者と敗者を隔てたものは、たったの"1ポイント"だったのだから......。

 その差を生んだものとは、試合終盤で「今」に集中できた王者と、「勝ちを意識」した挑戦者という、立場の差異にも依拠する心理面。そして、この差を埋める要素とは、両者が口を揃えるように「経験」なのだろう。

「先週が一番、可能性があったかなと思っていたんですが、今日は、より可能性があった。先週よりさらに近い試合ができたので......、もうちょっと......ですかね」

 錦織が言う「もうちょっと」を、勝敗を分けた1ポイントを――その差を埋める機会は、早ければ5月22日にパリで開幕する、フレンチオープンにも訪れるはずだ。

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