錦織圭が今季3度目でようやく見つけた「ジョコビッチ攻略法」 (4ページ目)

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki  photo by AFLO

 両者、力比べをするように足を止めたフォアの打ち合いを錦織が制したときにも、ファンは歓喜の声を上げた。そんな錦織のプレーに、王者は圧力を覚えただろうか? 第5ゲームをブレークし、勝利に大きく前進しながらも、ジョコビッチの表情は釈然としない。ポイントを奪うたびに客席に向かってガッツポーズを振りあげる王者の雄々しい姿は、逆に彼の焦燥を浮かび上がらせるようでもあった。

 ジョコビッチのなかに集積された焦りや不安が突如として溢れ出たのが、自らのサービスゲームで3本連続のマッチポイントを握った場面だろう。フォアのミス、そしてダブルフォルトを重ねた末に、ジョコビッチはこの試合初のブレークを、なかば手渡すような形で許す。

「どんなに多くの経験を積んでいても、時にこのようなことは起きてしまうものだ。特に圭のように、とても才能豊かで、攻撃的であり、少ないチャンスに飛びつき、モノにするような選手が相手のときには......」

 一見、"凡ミス"に見える失速の正体を、のちにジョコビッチはそう明かす。「圭は腕を楽に振り抜き、どんどん攻撃的になっていた」との思いが、王者をナーバスにさせていた。

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