錦織圭がマスターズ1000大会を
欠場してまで2週間休む理由

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki   photo by AFLO

 なお、ジョコビッチが5月上旬のマドリードマスターズを欠場できたのは、キャリア通算600勝などの「マスターズ出場規定緩和条件」を満たしているため。優れた戦績を残してきた上位選手ほど、スケジュールの見通しが立てやすくなる傾向にある。

 では、最初の疑問に立ち帰り、なぜ錦織はモンテカルロマスターズを犠牲にしてまで、この時期にトレーニング期を設けるのか?

 その解答は、欧州遠征の長さにある。

 錦織は毎年、この時期の欧州遠征を終えると、「心身ともに疲れ果てる」のだと言った。5月下旬開催の全仏オープン、そして6月下旬から7月上旬にかけてロンドンで行なわれるウインブルドンの2大会を中心に、春から初夏にかけて"テニスの中心地"はヨーロッパとなる。錦織も例年、4月中旬から7月上旬までの約2ヶ月半の長丁場をヨーロッパで過ごしてきた。

 昨年は、全仏とウインブルドンの間が従来の2週間から3週間に伸びたため、一時アメリカに戻りはしたが、それでも、クレーシーズンの7週間は欧州滞在。母国日本はもちろん、現在の拠点であるアメリカからも遠く離れたヨーロッパは、錦織にとって完全なるアウェーだ。言葉も通じにくいなかでのホテル暮らしの毎日は、いかに"ツアー慣れ"した錦織といえども不便は多く、やはり心休まらない。

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