錦織圭の父が語る「絶対王者・
ジョコビッチ超え」に必要なもの

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki   photo by AFLO

 昨年の時点で、インディアンウェルズでの戦績は4勝7敗。最高成績は、昨年残した4回戦。改めて言うまでもなく、これらの数字は、錦織がこの大会を他のどこよりも苦手としていることを明瞭に示している。本選で初勝利を手にしたのも、3年前。それまでは4大会連続で初戦負けを喫していたほどだ。

 その苦手のインディアンウェルズで、初めてベスト8に勝ち進めた要因こそが、「ミスの少なさ」と「サーブの安定」である。特に、最高時速157マイル(約252キロ)の超高速サーブを誇るジョン・イズナー(アメリカ)と対戦した4回戦では、サーブの安定感が最大の勝利のカギとなった。

 透明度の高い砂漠の空気のなかを伸びやかに飛び、バウンドと同時に高く跳ねる相手のサーブの前に、ツアー最高クラスのリターンを持つあの錦織が、「策が尽き、お手上げ」状態だったと告白する。しかし、その苦闘のなか、彼は自分のサービスゲームをキープし、数少ないチャンスを手にする戦法に勝機を求めた。結果、第2・第3の両セットでブレークを許すことなく、タイブレークの末に奪って辛勝。特に第2セットでは、ファーストサーブの確率は76%、ポイント獲得率92%。セカンドサーブでも62%という、いずれもイズナーを上回るポイント獲得率を記録した。

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