決勝の相手・ジョコビッチ分析。錦織圭の勝機は「第1セット」 (2ページ目)

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki   photo by Getty Images

 試合を通じて錦織がおかした"アンフォースト・エラー(自分からしたミス)"は、わずか8本。対して、奪ったウイナーは19本。試合を見ていた各国の記者の間からも、「今日の彼はパーフェクトだ!」と、驚嘆混じりの賛辞の声が上がった。

「ほぼ、完璧に近かったと思います」と、試合後の錦織も満足そうな表情を浮かべる。

 こうして彼は、マイアミ・マスターズ決勝の切符を......すなわち、現在のテニス界を統(す)べる絶対王者、ノバク・ジョコビッチへの挑戦権を手に入れた。

 ジョコビッチと錦織の対戦は過去8回を数え、ジョコビッチが6勝2敗とリードする。直近の対戦は今年1月の全豪オープン準々決勝で、その時はジョコビッチが6−3、6−2、6−4で完勝。錦織は試合序盤から攻め立てたが、それを予測し、「嵐が過ぎるまで耐えようと思っていた」ジョコビッチの守備を打ち破れず、中盤以降は自ら崩れての敗戦であった。

 リスク覚悟の攻撃か、あるいは様子を見つつの打ち合いか......。常に悩みを抱えるジョコビッチ戦の入り方について、錦織は次のように展望を語る。

「無理をしすぎても2セット続かないと思いますし、ある程度、自分のテニスをしないといけないと思う。今日みたいな感じで、そんなに焦らず、チャンスを見極めて打っていければと思います」

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