流れを掴みながらも敗北。錦織圭がナダル戦で得た収穫 (3ページ目)

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki   photo by Getty Images

 また、「一番悔やむ数ポイント」として挙げたのが、前出の第5ゲームのブレークポイントだ。

「15−40からの場面もそうだし、少しミスが相次いでしまった。他にも悔やむポイントはもちろんありますが、あそこのゲームもブレークして4−1にしていれば、おそらく展開は変わっていたので......。一番悔やむとしたら、あそこの数ポイントです」

 流れ......のひと言で済ますには、彼らのプレーの次元はあまりに高く、交わされる駆け引きと精神戦は複雑だ。だが、一連の攻防を機に、「活力がみなぎり、一度そうなると、あらゆることが容易になる」と感じたナダルの動きは軽快さを増し、サーブの確率も第2セットでは90%まで上昇。対して錦織のそれは第1セットの60%から、第2セットでは41%まで落ちている。

 金曜の正午スタートの試合が始まったときは、まだ7割ほどだった客の入りも、第1セット中盤から終盤にかけてほぼ満席となった。観客たちは、一度は劣勢に立たされ哀愁ただよう元チャンピオンを、強烈に後押しした。

 観客の声援に加え、もうひとつナダルを蘇らせたものがあるとすれば、それは錦織のプレーそのものではなかったろうか? 第2セットでは30度に迫る炎天下のなか、両者はともにベースラインから激しく声を上げて打ち合った。

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