デビスカップ敗退。錦織の進化と日本チームに突きつけられた課題 (3ページ目)

  • 神仁司●文・写真 text & photo by Ko Hitoshi

 マリーにしてはリターンミスが多かったものの、錦織はプレッシャーを感じ、徐々に追い詰められていった。結局、4時間54分の激闘の末、錦織は敗れた(5-7、6-7、6-3、6-4、3-6)。

「とても遅いコートで、明らかにタフなコンディションだった。圭はグランドストロークがよく、優れたリターナーなので、自分のサーブではほとんどフリーポイントがなかった。タフだったけど、何とか切り抜けた」

 このように試合を振り返ったマリーに対して、錦織は敗れたものの、最後まで高いレベルのテニスを維持できたし、フィジカルの問題もなかったことは好材料で、今後のツアーやビッグ4との対決に、この経験は間違いなく活かされるだろう。

 ただ、日本チームとしてはあらためて、この敗戦でWGで勝つための課題が突きつけられた。WGの試合で勝利を挙げられるのが錦織だけというのは、やはり厳しい。

「錦織が中心選手としてチームを引っ張るというのは、ある意味当然なのですが、彼の負担をいかに軽くするか、すなわちナンバー2、ナンバー3の選手の層を厚くしなければならない」

 デビスカップ日本代表の植田実監督は「錦織頼み」になっているチームの改善が急務だと認識している。

「自分がトップ10の選手として、2回勝つのが必然というか、任務だと思っているので、その意志をなるべく持ち続けていく」

 錦織は自分の役目をそう語ったうえで、他の日本代表メンバーのレベルアップを望んだ。

「ダブルスがもっともっと強くなれば、チームは強くなりますけど、僕が他の人の将来を決めることはできない。今、シングルスが強い選手が4人そろっているので、シングルスで勝っていけるように、2番手、3番手が強くなってくれるとうれしいです」

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