デビスカップ敗退。錦織の進化と日本チームに突きつけられた課題 (2ページ目)

  • 神仁司●文・写真 text & photo by Ko Hitoshi

 最初の2セットは「数ゲーム、悪いゲームがあって、そこの集中力の持続の差」と錦織が語ったように僅差だった。第1セットは61分、第2セットは79分を要して、マリーが連取。マリーがセットを取るのに1時間以上要したのは、ノバク・ジョコビッチ(1位)やラファエル・ナダル(5位)との対戦ぐらいで、それだけ錦織がハイクオリティなテニスを披露していた証拠ともいえた。

 お互い世界屈指のストローカーであり、ショットメイカーである。コースの打ち分けによる左右の動きに加え、ドロップショットやネットプレーによる前後の揺さぶりも交ぜながら、突破口を見出そうとした。

「攻めすぎても、マリーはディフェンスがしっかりしているので、自分にミスが出ます。いろんなボールを混ぜながらプレーできた」という錦織は第3、第4セットで、マリーの集中力が少し落ちたところをうまくついて2セットを奪い返した。さらにファイナルセットの第1ゲームで、先にブレークして試合の主導権を握ったかに見えた。

 だが、第2ゲームで、すべて錦織のミスによってラブゲームでブレークバックを許すと、崩れそうだったマリーが息を吹き返し、再び集中力を増していった。マリーは錦織の甘いセカンドサーブに対して、ベースラインの内側にステップインして攻撃的なリターンを打ち、リターンダッシュを繰り返した。

「5セット目、出だしはよかったですけど、マリーのしぶといプレーだったり、リターンからの攻めに耐えきれなくてミスが出てしまった。また、そこでレベルを上げられるのがマリーの強みかなと思います。(自分には)まだまだ爆発力が足りない」

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