本命不在の女子テニス界。日本人選手もトップを狙える! (2ページ目)

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki   photo by AFLO

 グローバル化に伴って――と見るべきだろうか、最近の女子テニス界でもうひとつ表面化している動きが、「女王不在の混沌状態」だ。セリーナの支配力は変わらず絶大ではあるが、不動の女王も34歳。昨年の全米オープンと今年の全豪オープンでは優勝を逃し、ケガや体調不良による大会欠場も目立っている。

 そのセリーナを昨年の全米オープンで破ったのが、32歳のロベルタ・ビンチ(イタリア)であり、最終的に同大会を制したのが、当時33歳のペンネッタ。さらに今年の全豪オープンでは、28歳のアンジェリック・ケルバー(ドイツ)がグランドスラム初優勝を遂げている。ベテランや苦労人たちが突如として大躍進するのも、昨今の女子テニス界のトレンドだ。

 世界に広がるこの潮流は、間違いなく日本の女子テニス界にも及んでいる。日本人最高位の土居美咲(54位)と2位の日比野菜緒(59位)は、いずれも昨年末にランキング100位前後ながら、サプライズ的なツアー初優勝を果たした選手。そして同時にふたりとも、エリート街道からやや外れた道を辿ってきた選手でもある。

 1991年4月生まれの土居は、19歳時に全日本選手権を制して国内の頂点に立つと、その翌年にはウインブルドンで3回戦に進出。若くして頭角を現したが、実はジュニア時代から日本の最前線を走ってきたわけではない。同期に「天才少女」と呼ばれた奈良くるみ(82位)や、世界ジュニアランク6位に達した井上雅(285位)がいたこともあり、小・中学生時は「日本一」と無縁。他にも1991年生まれには、世界ジュニア最高ランク11位の山外涼月(やまそと・あき/773位)ら、有望選手が多くいた。

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