全豪ベスト16進出! どんどんネットに出てくる錦織圭の戦術 (2ページ目)

  • 神仁司●文・写真 text & photo by Ko Hitoshi

 昨年の全豪では2回戦と3回戦で第1セットを落として逆転勝ちを収めた錦織だったが、今年は失セット1で、グランドスラムの第1週を乗り切った。その中で、錦織のネットプレーが多かったことが、序盤戦の特色として挙げられる。

 1回戦では17回ネットに出て12回ポイント奪取。サーブ&ボレーは1回出て1回成功。2回戦では21回出て16回ポイント。サーブ&ボレーは4回出て3回成功。そして、3回戦では24回出て16回ポイント。サーブ&ボレーは5回出て4回成功した。

 現代テニスではリターン力が向上したため、シングルスでのサーブ&ボレーは基本戦術として成立しにくくなり、奇襲として使われることが多い。そのため錦織が1試合で4~5回のサーブ&ボレー、そして20回前後のネットプレーというのは少し多い方といえるだろう。

「そこまで、そんなに出ようという気持ちがあるわけではない。敵に合わせて、プレースタイルを変えているだけ。特にこの2試合は前に出ているような気はしますけど、そんなに毎回どんどん出ようと思っているわけではない」

 このように錦織は、基本戦術に変化があるわけではないと語る。もともと世界トップクラスのストローク力の持ち主である錦織は、ネットプレーに頼らなくてもポイントは十分に獲得できる。だが、ネットでのポイント獲得を多くして、プレースタイルをよりオールラウンドに進化させようとしているのなら、その方向性は決して間違いではない。それは、下位選手に対してだけでなく、上位選手に対しても必ず有効な戦術の1つになり得るはずだからだ。

「練習で積み重ねてきたものもあります。自然と足が動くようにならないといけないところもあるので、うまくネットプレーも混ぜていきたい」

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