シャラポワ戦も。全豪OPで日本女子テニス界が放つ「3本の矢」 (2ページ目)

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki   photo by Getty Images

 だが土居は、「メインは、くるみ。私はあくまで彼女のパートナー」との想いでいたという。当時から世界のトップジュニア選手であった奈良を、土居は半分冗談めかして、「雲の上の存在だった」と評した。小学6年生時に初めて対戦して敗れたことも、土居が奈良を仰ぎ見た理由のひとつかもしれない。

 しかし、プロに転向した17歳のころから、ふたりの成績は追いつ追われつの"鬼ごっこ状態"へ。ランキング上では土居が先を行くことも多かったが、それでも先にツアー優勝の栄冠を掴んだのは奈良。そのころから土居も明確に、「ツアー優勝、そしてトップ50」を自身の目標に掲げる。奈良という良きライバルの存在が、そして反骨精神にも似た向上心が、土居を日本のトップへと押し上げた。

 一方の奈良にしても、土居のことを「自分に刺激を与えてくれるかけがえのない存在」と感じている。そんな奈良には、昨年の全米オープンの女子決勝戦を見て、フッと心に浮かんだ願いがあった。

 そのときの決勝戦とは、ロベルタ・ビンチとフラビア・ペンネッタ(ともにイタリア)という、少女時代から互いを知る"親友同士"で争われた一戦。試合後のセレモニーで、勝者も敗者も関係なく喜びをわかち合うふたりを見ながら、奈良は「いつかは私たちも......」と、心のどこかで思ったという。奈良が「私たち」と言及した相手は、もちろん土居。それは壮大な夢だが、決して突拍子もない夢ではない。

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