2016.01.06

車いすテニス王者・国枝慎吾と14年。丸山弘道コーチが描くリオでの夢

  • 荒木美晴●取材・文 text by Araki Miharu

理想の指導者像について語る丸山コーチ。photo by Matsumoto Hiroshi―― コーチが指導するうえで大事にしていることは何ですか?

丸山 低年齢の子どもには目標を見つけてあげるという"ティーチング"でいいと思っています。その後、その子がどのように「自立」と「自律」をしていくか。それにはふたつの「シコウ」、つまり「試行」と「思考」が必要で、それを選手が理解して初めて"コーチング"に移行できる。慎吾の場合は、ずっとそういうトレーニングをしてきて、北京パラリンピックで金メダルを取った時に、完全にコーチングに変えようと思いました。それから今もずっと継続しています。

―― 今、大阪体育大学大学院で競技スポーツ心理学を専攻されています。具体的な研究内容は?

丸山 スポーツとは、自分で考え、自分でクリエイトしていくことだと私は思っています。自分で計画、実践、結果を出せる選手がやはり一流だと思いますし、慎吾はその最たるものでしょう。ただ、今の日本にそういう人材を育成するための機関がないので、そのあたりが研究材料です。また、テニスコーチは選手に対して技術の指導やフィジカルのサポートができるけれど、メンタルの部分だけは唯一裏付けがないんです。だから、そこを理解するために、心理学を学んでいます。

―― 大学院の勉強が指導の中で生かされていることはありますか?

丸山 人は"怒り"でカッとなった時、6秒待てば抑えられるそうです。それから口を開けば、行き当たりばったりの言葉にならない。テニスコーチとして、自分の一言が相手にどういう影響を与えるかを学ぶことが、いかに大事かを改めて感じています。