前進したのか、停滞したのか。錦織圭の2015年をデータ分析 (4ページ目)

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki   photo by AFLO

 シーズンを途中離脱することなく戦うことに加えてもう一点、上位進出のために欠かせない要素であり、今季のトップ4とそれ以下を明瞭に隔てているのが、「対トップ10戦績」だ。今季の錦織のトップ10選手との対戦成績は6勝10敗・勝率37.5%。この数字は、ノバク・ジョコビッチ(セルビア)の86.1%を筆頭に、ランキング上位4選手は全員50%を超えている。それが、5位のナダルになると38.9%に下がり、以降はトップ10といえども40%を超える選手はなし。「対トップ10戦績」を上げることは、そのままトップ5、あるいは“ビッグ4”の壁を突き破ることに直結する。

 ちなみに、今季の錦織に関する特筆すべき数字として、「初戦敗退が1大会しかなかったこと」を強調しておきたい。その1大会が全米オープンだったために衝撃も大きかったが、実はトップ10選手といえども初戦敗退がないのは、1位のジョコビッチただひとり。3位のフェデラーですら2度(1回戦免除の場合の2回戦敗退も含む)、全仏オープン優勝者のワウリンカも2度の初戦敗退を経験しているのだ。

 さらにもうひとつ、今季終了と同時に錦織の経歴に加わった勲章がある。ATPは毎年、「年間ベストプレー」を選出しており、今年はフェデラーがジョコビッチ戦で見せたウイナー、そして錦織がモントリオール・マスターズでダビド・ゴフィン(ベルギー)相手に放った股抜きロブが最終候補に選ばれた。

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