目標はリオ五輪。女子テニス世界ツアー優勝者に聞く・日比野菜緒

  • 神 仁司●文・写真 text & photo by Ko Hitoshi

 覚悟を決めた日比野は5月中旬のITF福岡大会で準優勝、続くITF久留米大会で優勝を飾った。何で勝てたのかわからないと振り返る日比野だが、彼女のテニスと向き合う姿勢はこれまでと別人のように変化した。結果的に、それが彼女のテニスへいい影響を及ぼしたのだろう。

「コートに行くのが楽しくなった。試合に勝ちたいというより、テニスが上手になりたいと思えるようになった。できなかったことができるようになり、そういう小さなことがうれしくて。映二さんに教えてもらえるひとつひとつをできるようにしていこうという気持ちで、毎日テニスが楽しくなった。試合でどれだけできるんだろうというのも、もちろん楽しみでした」

 夏のハードコートシーズンになっても日比野の快進撃は続き、ITFの2大会で優勝、ITFの1大会でベスト4という好成績を収め、初めてUS(全米)オープンの予選にもトライした(予選決勝で敗退)。
 
 もともとバックハンドが得意だった日比野は、プロに転向してから竹内コーチとともに、まず1年間フォアハンドの強化に取り組んだ。そして、ショットのクオリティが上がってからは、試合での戦術の実践をテーマにして練習に取り組んでいる。

「いかに自分のリスクを少なくして打てるようにするのか、それが難しい。頭を使わないといけないから。(以前は)いかに考えていなかったか、ということを思い知らされています。例えば、相手にノーリスクでリターンされるぐらいだったら、自分からサーブ&ボレーを1回見せておけば、相手はいろいろ考える、とか。リターンも普通に返していたら、何のプレッシャーもないから、早く打ち返すとか、後ろに下がってトップスピンをかけるとか、いろいろやってみなさいと言われます」

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