【テニス】ツアー初優勝を遂げた日比野菜緒ってどんな子? (2ページ目)

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki   photo by AFLO

 テニス漫画『エースをねらえ!』を愛読した母、その母がこよなく愛したクリス・エバート(アメリカ)やシュテフィ・グラフ(ドイツ)ら往年の名プレーヤー、そして1990年代の日本に巻き起こったテニス全盛期......。それら二十余年に及ぶテニス史に、子どもたちを虜(とりこ)にしたテレビゲーム人気が重ならなければ、日本人女子9人目のツアー優勝者誕生も、もしかしたらなかったかもしれない。日比野本人の言葉を借りれば、「テレビの前で地蔵化していた(まったく動かずに座っていた)兄に感謝!」と言うことになる。

 偶発的な要因も含みながら、連綿とつむがれるテニス史を受け継ぎ、WTAツアー優勝を果たした日比野の成長曲線は、今年の夏ごろから急こう配な右肩上がりを見せている。7月には、アメリカで行なわれた下部ツアーで2大会優勝。その躍進の礎(いしずえ)はそれより早く築かれ始め、今年の春ごろから「コートに行くのが楽しみで仕方ない」ほどの新境地に足を踏み入れていた。

 その理由とは、戦術面に磨きをかけることで、テニスが持つ戦略性や駆け引きの深みを感得したこと。このころの日比野は、男女問わず多くのトッププレーヤーたちの試合映像を見ては、その一打一打が持つ意味合いを吟味したという。

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