グランドスラム今季終了。女子テニスの勢力図は変わったか? (4ページ目)

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki   photo by AFLO

 わけても身長163センチのビンチの活躍は、日本人選手たちに光を見せたことだろう。逆回転を掛けた緩いボールやネットプレーを操り、あのセリーナのパワーすらも巧みにいなした32歳のイタリア人選手は、体格やパワー面でハンデを背負ってきた多くの日本人選手に上位進出への道を示した。

 現在の日本女子の中核を担う奈良くるみ、土居美咲、そして今年の全米オープンで予選を突破した日比万葉や、東レ パン・パシフィック・オープンに主催者推薦枠で出場する大坂なおみらも、その光を見たはずだ。わけても奈良と土居は、ペンネッタとビンチのように10代前半からお互いを知り、ジュニア時代からダブルスを組んできた友人にしてライバルだ。「いつかはペンネッタ選手とビンチ選手のように、大きな舞台で対戦できるようになりたい」。奈良はそう言い、笑顔を見せた。

 23、24、19、17――。

 これが、先ほど名前を列挙した、日本人選手たちの年齢である。彼女たちには、まだ十分に時間がある。「ミラクル」を起こす時間が……。


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