グランドスラム今季終了。女子テニスの勢力図は変わったか? (2ページ目)

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki   photo by AFLO

 今回の全米オープンベスト4の顔ぶれを見たところで、昨今の女子テニス界の構図を見極め、今後の展望を占うのは非常に難しい。何しろ絶対女王と目されたセリーナを破ったのは、若き女王候補でもなければ、長年のライバルですらない。頂点に立ったペンネッタは全米オープン史上最年長の優勝者となり、しかもその優勝スピーチで今季限りでの現役引退を表明した。残酷な言い方をしてしまうと、今回の全米オープン決勝に「女子テニスの未来」はない。

 実はこのような傾向は、過去2年間のグランドスラムを紐解いても同様だ。2013年全豪オープンから今年の全米オープンまでの12大会の優勝者を見てみると、セリーナが6回と半数を占め、残り6回を6人の異なる選手が優勝している。そのうち、2013年ウインブルドン優勝者のマリオン・バルトリ(フランス)、2014年全豪オープン優勝者の李娜(リー・ナ/中国)は、すでに現役を退いた。ちなみに李娜は全豪オープンを優勝したとき、31歳11ヶ月で同大会の最年長優勝記録を樹立。その翌年にはセリーナが抜いたが、いずれにしても最近のグランドスラムでは、大会ごとに最年長優勝者を排出する傾向にある。

 では、若手たちはどこにいるのか?

 昨年の全仏オープンでは当時22歳のハレプが、同年のウインブルドンでは20歳のウージニー・ブシャール(カナダ)が、そして今年のウインブルドンでも21歳のガルビネ・ムグルサ(スペイン)が決勝まで勝ち上がり、初の戴冠に限りなく近づいた。彼女たちこそが「女子テニスの未来」と目された。

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