クルム伊達公子は、グランドスラムの舞台に戻ってこられるか? (3ページ目)

  • 神仁司●文・写真 text & photo by Ko Hitoshi

 今年の全豪で、クルム伊達はケガに加えて、やる気も失い、どう自分を奮い立たせればいいかわからず、会見で涙を流した。春頃まで続いた大きな試練を乗り越えた今、クルム伊達は、再びテニスがプレーできる喜びをかみしめているように見える。そして、現役再チャレンジを始めた頃の、ただテニスをすることを楽しむという、クルム伊達のチャレンジの原点に戻っているのではないだろうか。

 9月28日に、クルム伊達は45歳になる。4~5試合連続で戦えば、体力的に厳しく、体への負担が増すこともある。クルム伊達は、昨年の秋から今年の春までケガに悩まされた教訓を生かして、大きなケガをしないように心がけながら、自分のできる限りの力を尽くして戦う準備をしている。

「当然数年前と比べれば、体力的にもきつくなっているし、当然勝てなくなれば、精神的にもモチベーションをキープするのは簡単ではない。体が元気であれば、いいパフォーマンスは、まったく無理じゃないとまだ思っているので、もう少し自分としてはできるんじゃないかという手ごたえと気持ちの方が強いかな」

 9月に東京・有明で開催されるジャパンウィメンズオープンで、クルム伊達は、本戦ワイルドカードを獲得している。現状では数少ないWTA大会で戦えるチャンスを活かせるかどうか、そして、トップ100へ戻って、来年にグランドスラム本戦の舞台で戦えるかどうか、クルム伊達の今後のキャリアを左右するような重要な戦いが続く。

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