クルム伊達公子は、グランドスラムの舞台に戻ってこられるか? (2ページ目)

  • 神仁司●文・写真 text & photo by Ko Hitoshi

「全然いいですよ。治療にかける時間も今は少ないですし、プレーで、どこか制御しながら動かないといけないということもない。ただ、100%かどうかと言われると、時々(故障が)出てくるのはある。完治するわけではないので、酷使したり、試合数が重なったりすると、体に負担がかかる」

 今季のグランドスラムの戦いを終え、クルム伊達は、シングルスで本戦を戦えたのは、全豪オープンのみで、他の3大会では、すべて予選敗退だった。

「一時期は、グランドスラムの予選になったら厳しいし、(本戦出場へ予選を)3回勝つことは簡単なことではないので、予選になったら、その時が引退の時と考えていたことがなかったわけでない」

 こう語るクルム伊達は、2008年に現役再チャレンジを始め、10年頃にグランドスラム本戦の舞台で戦えるようになってからは、「ランキングが落ちて、再び予選での戦いを強いられるのは、体力的にも精神的にも難しい」と考えていた。だが、2015年シーズンになって、実際その状況に置かれると、彼女の考えには変化が生じてきている。

「今までは予選を出るからには、予選を勝ち抜いて本戦へ、というこだわりがどこかにあったかもしれない。でも、そこまで本戦、予選にこだわる必要がないのかな。予選のタフな戦いで、自分がどこまでできるのか、やってみるのも悪くない。反対に、予選をうまく戦えれば、それは大きな自信になるし、そんなにマイナスなことばかりではないのかなという気持ちになった。全豪以降、予選でしか戦えなくて、予選で負けたことへの落胆というのは、私の中ではそんなに大きなことではない」

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