錦織圭が芝コートのウインブルドンでケガをした理由を考える (4ページ目)

  • 神仁司●文・写真 text & photo by Ko Hitoshi

「全部のボールを拾ってというのは難しい。フットワークがいちばん苦労するところ。たぶん、どのサーフェスよりも負荷がかかってくると思います」

 さらに、錦織はサーブでいつもよりスピードを出すことを心がけていたため、サーブのテークバック時やインパクトに向けてジャンプする時、左ふくらはぎに負担がかかり、今回のケガにつながった可能性も考えられる。

ちなみに、ノバク・ジョコビッチ(セルビア、1位)は、昨年も今年もグラスの前哨戦に出場していない。サーフェスへの適応よりも、コンディショニングを優先させたのだ。ジョコビッチは昨年、ウインブルドンで2回目の優勝を成し遂げ、今年も勝ち上がっている。

グランドスラム初制覇を狙う錦織もまた、フィジカルやメンタル面において、いかにグランドスラムにピークをもっていけるかを突き詰めなくてはいけないだろう。

今回、ウインブルドンではケガに泣いた錦織だったが、収穫もあった。グラスでも、自分でコントロールして足をスライドさせることができるようになったという。ジョコビッチが、芝でもクレーコートと同じように足をスライドさせるのをテレビで見て、「自分もできたら」と考えていたのだ。

「(今までも)やってはいましたけど、コントロールしてできたのは今回が初めて。いつもはたまたま滑って、『うわ、危ない』と思っていましたが、自由にスライドできるようになった。それがすごくうれしかったです」

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