錦織圭が芝コートのウインブルドンでケガをした理由を考える (3ページ目)

  • 神仁司●文・写真 text & photo by Ko Hitoshi

 これまでローランギャロス(全仏)とウインブルドンの間が2週間しかないことが問題視されていたが、2015年シーズンからは3週間になり、この改善は多くの選手から歓迎された。

 それでも、錦織は切り替えの難しさを口にした。

「5日間ぐらい休めたので、体力的には助かった。アメリカ(拠点のフロリダ)に帰れたことは、よかったです。でも、完全にスッキリした感じではなかったので、そういうところも、ケガにつながった原因かもしれない」

 2000年よりウインブルドンのコートは、ペレニアルライグラスが100%使用され(以前はライグラス70%、他種類のグラス30%)、試合時は8mmに刈られる(この長さは1988年から統一)。地面はローラーによって固められているものの、クルム伊達によれば「踏み込んだ時、ハードコートのように地面からの反発を利用できない」という。

 芝は「足がグニッと入るので、見えない疲労が蓄積される。だからふくらはぎはケガが起こりやすい」。さらに、グラスは最も足下が滑りやすいサーフェスなので、もし滑って転べば、「ひざのじん帯や足首を痛める可能性もある」とクルム伊達は付け加える。

 つまり、ツアー随一の素早いフットワークを誇る錦織にとって、グラスコートは対応が難しいサーフェスであり、動きに苦慮しているのが現状だ。

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