ウインブルドンの芝に変化?錦織圭との相性はいかに (5ページ目)

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki   photo by Getty Images

 このような所感は、実はチャンだけではなく、多くの現役ベテラン選手たちも述べていることだ。テニスは一時期、サーブの比重が高くなりすぎ、ラリーがつながらずつまらなくなった……との批判の声を受けたことがある。そのため、コートを遅くしようとの動きが起き、ウインブルドンもそのような時流にならったとの見方は強い。ただ、ウインブルドンの運営側は、「我々は芝の種類や長さ、手入れ方法に到るまで、この何十年一度も変えていない」と、変更説を完全否定しているのだが……。

 引き続き、チャンの分析。

「ATP(男子プロテニス協会)が出場義務化のルールを厳しくしたことも大きいだろう。僕たちのころは、最初から芝での活躍をあきらめたスペインの選手たちは、ウインブルドンに出ないこともよくあった。でも今は、みんなが参戦しなくてはいけない。だからウインブルドンの戦いも、以前より選手層が厚くなり過酷になっている」

 今大会はそのような混戦の傾向が、より強まるのでは……と、チャンは予測している。なぜなら、今年は全仏オープンとウインブルドンの期間が、昨年までの2週間から3週間に延びたからだ。芝への準備期間が1週間増えたことにより、全仏で終盤まで勝ち上がった選手たちも、芝に十分順応できるようになるだろうとチャンは見る。

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