ウインブルドンの芝に変化?錦織圭との相性はいかに (4ページ目)

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki   photo by Getty Images

 ところが……である。それら「芝の王者」を規定する条件に、近年、明らかな揺らぎが見られる。2008年以降のウインブルドンのタイトルは、フェデラーとナダル、そしてノバク・ジョコビッチ(セルビア)が2度ずつで分け合い、2013年にはアンディ・マリー(イギリス)も地元で悲願の戴冠を果たした。これらフェデラー以外の3人の覇者は、「赤土の王者」ナダルを筆頭に、いずれも堅牢な守備と長いラリーを得手とするベースライナー。従来のウインブルドン覇者のイメージとは、やや趣を異にする選手たちである。

 その理由を解く要因を明瞭に語ったのは、錦織のコーチであるマイケル・チャンだ。最近行なわれた『スポーツ・イラストレイテッド』電子版でのインタビューで、チャンは次のように答えている。

「招待部門(引退した選手によるエキシビションマッチ)で、久しぶりにウインブルドンでプレーしたのは2007年だった。最初にボールを打ち合ったとき、思わず周りを見渡して、『これはいったい、何事だ!?』と叫んでしまったよ」

 最後に現役選手としてウインブルドンに参戦した2002年以来、5年ぶりに聖地に立ったチャンを驚かせたのは、芝の変化だったという。

「僕が現役でやっていたころのウインブルドンは、ボールがひざより上でバウンドすることは、まずなかった。それが今では、腰のあたりまで跳ね上がる。スライスのバウンドも、まったく違う。以前はスライスを打たれると、くるぶしより下に飛んでくるような感じだったが、今はそうでもない」

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