2015.06.26

ウインブルドンの芝に変化?錦織圭との相性はいかに

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki   photo by Getty Images

「テニス界が生んだ芸術品」とまで称賛されるフェデラーが、その流麗なプレースタイルで初めてウインブルドンを制したのは2003年。以降、2007年に到るまで5連覇を達成し、わけても2005年には、3回戦で1セットを失う以外はすべてストレート勝利――という圧巻の優勝を成し遂げた。

 2003年といえば、錦織が盛田正明テニスファンドの支援を受け、フロリダのIMGアカデミーに渡った年である。そして2005年~2006年ごろは、錦織が全仏ジュニアのダブルスで優勝し、さらにはラファエル・ナダル(スペイン)の練習相手を務めるなど、トッププロの存在も徐々に身近に感じ始めたころ。つまり、フェデラーが芝を統べた時代とは、錦織がテニスの世界に生きることを決意し、プロの世界を「未来の戦場」と見始めた時期と見事なまでに符合する。

 ウインブルドンが「遥かなる憧れの聖地」だったころから時代は移ろい、その地を見つめる視座も変わった。少なくとも錦織圭にとって、ウインブルドンは憧れ以上に、リアルな戦いの場としての意識が強かったのだろう。

 では、戦いの場としてのウインブルドンと、錦織の相性はどうだろうか?

 錦織本人の想いや手ごたえは、テニス界における彼の立ち位置や目標地点に応じて、その時々で変化している。たとえば、ひじのケガから復帰した2010年ごろは、「思い切り打てばウイナーが決まる。自分には向いているのでは......」との手ごたえを口にした。2012年には、ウインブルドンで開催されたロンドンオリンピックでベスト8に進出。その当時、自分のテニスの方向性にやや迷いを抱えていた錦織は、芝の上での早い展開に自身のテニスの原点である「攻める喜び」を取り戻した。