全仏オープン開幕。錦織圭が3度目の対戦で見せた「格の違い」

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki   photo by AFLO

 テニスコートは、異なる国や様々な世代の選手たちの人生が交わり、共鳴しあう場所である――。錦織圭とポール=アンリ・マチュー(フランス)は過去に2度、テニスプレーヤーとしての足跡を交錯させてきた。

全仏オープン1回戦を難なく突破した錦織圭全仏オープン1回戦を難なく突破した錦織圭 1度目は、2009年1月のブリスベン国際。両者は3回戦で対戦し、錦織がストレートで敗れている。マチューは当時世界ランキング31位の26歳で、錦織は61位の19歳。この試合の前日、錦織は当時20位のトマシュ・ベルディハ(チェコ)を破ったものの、試合直後から右ひじに痛みが発生。マチュー戦は、痛みと不安を抱えながらの戦いであった。この試合から約2カ月後、錦織はひじの故障のため戦線を離脱。コートに戻ってきたのは、約1年後のことである。

 2度目の対戦は、2012年4月のモンテカルロ・マスターズ。この時の両者の立場は、3年前とはまるで異なっていた。錦織のランキングは17位。対するマチューは352位。前年にひざを手術したマチューは、1年以上のツアー離脱から復帰したばかりだった。この時の勝者は錦織。それ以降、マチューはトップ100までは戻るものの、最高12位に達したかつての輝きを取り戻すことはなかった。

 そして、3度目の対戦となった今回の全仏オープン開幕戦。マチューは123位で、ワイルドカードを得ての出場だ。対する錦織は、今や押しも押されもせぬ第5シードで、優勝候補にも名前が挙がる世界のトップ選手である。

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