錦織圭が10代から指摘されていた「苦手なタイプ」とは? (5ページ目)

  • 内田暁●構成 text by Uchida Akatsuki   photo by AFLO

 しかし、ロペスのサーブも、終盤でも時速220キロを計測するなど、衰えが見られない。仮に高速のファーストサービスが入らなくても、サウスポーから放たれるスライスやキックサーブ(※)はむしろ、セカンドサーブで大いに威力を発揮した。さらに、摩耗が激しいと指摘される公式ボールは、試合が進むにつれてイレギュラーが増えていく。普段はボールを打つごとに相手のショットに適応していく錦織が、むしろ時間が経つほど打球感を失っていった。その結果、「大切な場面でミスが続いてしまった」錦織は、最後まで首を捻るようにして、苦手とするコートを後にした。

※キックサーブ=相手コートでバウンドした際、大きく高く弾むサーブ。

 第5シードとして迎えた今大会の結果は、4回戦敗退となった。だが、これはインディアンウェルズ大会では過去最高の成績でもある。そして来週から戦うのは、慣れ親しんだフロリダ州開催のマイアミ・マスターズ。昨年はロジャー・フェデラー(スイス/世界2位)を破り、準決勝進出を果たした相性の良い大会だ。

 マイアミ大会に向けて、修正すべき課題は――?

 そのように記者から問われると、錦織は、「マイアミはサーフェスも少し速いので、こことはまったく違う展開になると思う」と答えた。「(敗戦のことは)とにかく忘れて、しっかり調整すれば大丈夫だと思います」。

 静かな口調ながらも、根底に流れる自信とプライドが言葉の端々ににじむ。この言葉の真意を、ぜひともマイアミで証明して欲しい。

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