錦織圭が10代から指摘されていた「苦手なタイプ」とは? (2ページ目)

  • 内田暁●構成 text by Uchida Akatsuki   photo by AFLO

 そのようなサーフェスでのプレイをさらに困難にしているのが、多くの選手が「やりにくい」と口をそろえる、大会公式ボールである。特にラファエル・ナダル(スペイン/世界3位)は、「日中と夜ではボールの感覚は変わるものだが、ここは特にひどい。昼間にボールに触ると、まるで石のようだ。どんなに打っても、打球感がまったく得られない」と不満を露わにする。また、そのようなボールがプレイに与える影響についても、ナダルは以下のように語っている。

「この大会では、選手たちのミスショットが増えてしまっている。それも、少し外すというのではない。1~2メートルも外してしまうような大ミスショットだ。これは、テニスそのものにとって良いことではない」

 錦織もナダルの意見に同調するように、「ここのボールは、一番なくらい好きではないです」と言う。「重いし、バウンドが変なところに跳ねたりするので、腕にも疲労が溜まりやすく、自然と身体に負担は掛かるので......」。

 もちろん、すべての選手がこのやっかいなサーフェスとボールでプレイしているわけであり、条件はみな同じである。ただ、錦織のように、ベースラインからの組み立てと繊細なタッチを身上とする選手ほど、その悪影響を受けやすいのは間違いない。さらに加えるなら、4回戦の対戦相手となったロペスは、この条件下で対戦するには錦織にとって、最悪の選手のひとりだったと言えるだろう。

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