錦織圭が10代から指摘されていた「苦手なタイプ」とは?

  • 内田暁●構成 text by Uchida Akatsuki   photo by AFLO

 複数のボールを手のひらの上でグルグルと転がしながら品定めし、首をかしげるとその内のひとつ(時には1個以上)を主審に打ち返し、残りの中からひとつのボールを選び取ると、急ぎ気味にサービスフォームに入る――。

 そのような錦織圭の姿を今大会、そして4回戦のフィリシアーノ・ロペス(スペイン/世界ランキング12位)戦でも何度、目にしたことだろうか(※)。何かがうまくいかない、どうしてもしっくりこない......そんな焦りと苛立ちが、ふとした表情や仕草からもうかがうことができた。

※錦織はロペスに4-6、6-7でストレート負け。

ミスショットで表情を歪めるインディアンウェルズ大会の錦織圭ミスショットで表情を歪めるインディアンウェルズ大会の錦織圭 アメリカ・カリフォルニア州の砂漠の街――インディアンウェルズで開催されるBNPパリバオープンは、錦織が最も苦手とする大会である。本選には過去6回出場しているが、そのうち初戦敗退が4回。

「今のところ良い結果が出ていないので、いつかは活躍したいという思いは常に持っています」

 大会前には、そのような意気込みも口にしていた。

 錦織がこの大会を不得手とする理由は、単純に言ってしまえば、サーフェス(コートの種類)およびボールとの相性が悪い......ということに尽きる。同大会のコートサーフェスは『Plexipave』と呼ばれるもので、それ自体は錦織が過去に優勝したデルレイビーチ国際や、3連覇中のメンフィス大会と同様である。ただ、インディアンウェルズ大会のサーフェスは、他に比べて表面のザラつきが激しく、バウンド後にボールが極端に減速してから高く跳ねるという。また、砂漠地帯特有の乾いた気候のためか、「ボールが良く飛ぶ」というのも、選手間に共通した見解だ。

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