25歳の錦織圭が意識する「同世代のライバルたち」 (4ページ目)

  • 内田暁●構成 text by Uchida Akatsuki  photo by AFLO

 そのブレッドに導かれたチリッチは20歳でトップ10入りを果たしたが、そこから先の壁をどうしても打ち破れなかった。そこで昨年、母国クロアチアの英雄である元世界ランキング2位のゴラン・イバニセビッチに師事。その結果、全米オープンでキャリア最大の栄冠を掴んだのである。錦織とチリッチ――、互いに「レジェンドコーチ」の下で覚醒したふたりのライバル史も、全米オープン決勝を境に新章に突入したと見るべきだろう。

 錦織が「もう若くはない」と微かな焦燥感を覚えた4年前、たしかにナダルやジョコビッチらは、今の錦織より若くして世界を支配していた。そして、その当時と比べても、トレーニングや食事療法の進化もあって選手の全盛期は伸び、上位陣が若手の台頭を阻んでいる。

 それでも時は流れ、世代交代の機は満ちた。高き牙城を突き崩さんと、一気に押し寄せる新世代の波――。その先陣を切って走るのが、25歳の錦織圭なのは間違いない。

※世界ランキングは1月12日発表時

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