2015年の錦織圭、グランドスラム初制覇の可能性を検証する

  • 神仁司●取材・文 text by Ko Hitoshi photo by Ko Hitoshi

「発展途上というか、まだまだ先は長い。より自分のプレースタイルのレベルを上げるためにも、挑戦が必要だと考えて変えました。少しラケットの感触が以前と違うので、初めて握った時は、慣れるまで時間が必要でしたけど、今は慣れて、いいフィーリングでやれている。よりスピードが増して、自分のプレースタイルに合っていると思うので、ショットの威力を高めたり、ウィナーを増やしたり、進化したテニスを見てもらいたい」

 最近ラケットを変更して成功した選手が、フェデラーだ。14年シーズンに、最多となるマッチ72勝を挙げ、2位に返り咲いた。その一方で、ラケットを変更した09年シーズンに、GSで1回も決勝に進出できなかったジョコビッチの例もある。

 15年シーズン、錦織が新しいラケットにどれだけ早く馴染めるかどうかも、キーポイントのひとつになるだろう。

 14年12月上旬から練習を再開させた錦織は、1月4日に開幕したATPブリスベン大会から、15年シーズンをスタートさせた。そして、1月19日からメルボルンで開幕するGS初戦・全豪が控えており、活躍が期待される。

「まだまだ自分が伸びるところを再確認して、得意でもあり、やりやすいオーストラリアで、まずはいい結果を残したい」

 こう語る錦織は、メルボルン(全豪)で、12年ベスト8、13年と14年はベスト16と、ここ3年間安定した成績を残している。

 GS本戦は128ドローだが、今回仮に錦織が上位8シードに入れば、準々決勝まで自分より上位のシード選手と対戦することはない。大会前半に強敵と当たる可能性が低ければ、錦織の上位進出の可能性がより高くなり、優勝戦線に最後まで残れるだろう。

「グランドスラム決勝の舞台にまた戻りたいし、ランキングもキープしていかないといけない。また大変な、違う挑戦の1年になると思いますけど、頑張りたい」

 プロ8年目の錦織は、2015シーズンに、グランドスラム初制覇という日本男子前人未到の高みに挑む。彼にとってまさに勝負の年となる。

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