錦織圭が「自信」をつかむきっかけとなった一戦とは (4ページ目)

  • 神仁司●取材・文 text by Ko Hitoshi photo by Ko Hitoshi

 また、ファイナルセットにもつれた試合は21勝3敗、勝率87.5%で、ジョコビッチらを抑えてシーズンの勝率トップだった。キャリア通算では69勝19敗、勝率78.4%。驚くべきことにこれは歴代1位だ。

 さらに、トップ10選手に対して、錦織は、13年シーズンは2勝7敗だったが、14年シーズンは11勝7敗で勝ち越した。この中には、マイアミ大会準々決勝でのロジャー・フェデラーからの勝利、USオープン準決勝でのジョコビッチからの勝利、ツアーファイナルズでのアンディ・マリーからの勝利が含まれており、ナダル以外の“ビッグ4”から勝利を収めたことになる。

「今、圭は全体的に以前と異なった試合運びをしている。(14年シーズンに)初めてトップ10に入ることができた。彼のメンタルや試合へのアプローチは、完全に変わった。それを見てとれるし、彼のゲームは自信に満ちていて、厳しい練習が本当に報われている」

 チャンはこのように語り、錦織がレベルアップし、トップ10プレーヤーにふさわしい実力と精神力が備わってきていることを評価している。

 錦織は、チャンの影響によって、テニスをレベルアップさせただけでなく、「もう勝てない相手はいないと思う」と、今までにない発言も出てくるようになった。

「自分の力を信じる」

 それこそが、14年シーズン飛躍の原動力となり、そして、世界の頂点を見据える錦織にとって最大の収穫となった。


「2014年、錦織圭が変わった瞬間」(1)>>

「2014年、錦織圭が変わった瞬間」(2)>>


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