2014.11.17

最高のシーズンを終えた錦織圭「2015年への決意」

  • 神 仁司●取材・文 text by Ko Hitoshi photo by Ko Hitoshi

 対する錦織は、第2セット、第1ゲームでいきなりブレークを許したが、第2ゲームに30-30から、ブレークバックに成功。ジョコビッチのプレーがやや硬くなってミスをしたところを逃さず、ゲームの流れを引き寄せた。

 錦織のストロングポイントのひとつが、相手の一瞬の隙を突き、攻撃に転じる感覚、勝負どころをかぎ分ける嗅覚だ。そして、たとえ相手がジョコビッチでも、好調時は決して簡単にポイントを奪われない強さを手にしたといえる。

 第2セットを奪ってセットオールにした錦織は、ファイナルセットの第1ゲームで、15-40とし、再びブレークするチャンスを得た。ここでリスクを冒してポイントを奪いにいった錦織だったが、3本連続のミス。「あのゲームがキーポイントだった。ノバクがナンバーワンだと考え過ぎた」と振り返って悔やんだ。結局、ジョコビッチがフォアクロスのウィナーを決めてキープに成功。ナンバーワンの意地と、王者の底力を見せたシーンだった。

 第3セットも奪われてジョコビッチに敗れた錦織だが、このツアーファイナルズという大舞台での経験を、さらに上を目指すための糧にしていくだろう。また、自分より格上の選手に勝つためには、リスクを冒す必要もあるが、今の錦織であれば、無理をせずとも勝てるゲームが増えていくはずだ。

 実際、錦織の言葉から、今までにはなかった自信がうかがえるようになった。

「常に冷静に自分のテニスをすることを心がければ、チャンスは出てくると思います」

 一方のジョコビッチは、錦織ら若い力の台頭をはっきりと感じとっていた。

「(若い選手との対戦を)いつも新たなモチベーションにしている。彼らニューフェイスは、大きな舞台でトップ選手に勝つことができることを証明し、より自分の力を信じられるようになっている。彼らにはやるべきことがたくさんあるが、何とかトップに追いつこうとしているのはわかっている。だから、僕ももっと進化しなくてはいけないね」