クルム伊達公子が語った「モチベーションの源」 (3ページ目)

  • 辛仁夏●文 text by Synn Yinha
  • photo by AP/AFLO

 先の全米オープンでは、今年3月から組んでいるストリコバとのペアで、自身初となるグランドスラム(四大大会)のダブルス・ベスト4に輝いた。パートナーとなったストリコバは、多彩なショットの持ち主でネットプレーが上手い。身長も同じくらいのクルム伊達と似たタイプの選手なだけに、試合を重ねるごとに絶妙なコンビネーションが生まれ、全米では強豪ペアを次々と撃破して快挙に結びつけた。20代の現役時代は、ほとんどダブルスはせず、シングルス一本に絞って戦っていたが、今では「ダブルスらしいダブルスができるのは楽しい」と言うほどの変わりようだ。

「彼女(ストリコバ)と組んでいつもいいプレイができていたんですけど、今日(17日)は(緩急をつける)相手のフリプケンスのペースに巻き込まれてしまい、それに合わせてしまったところがあって、自分たちのいいところを出せなくなったのが敗因。足の状態は昨日は最悪でしたが、アイシング、炎症止め、マッサージ、針など手持ちの機械であれこれやって、今日起きたら痛みはゼロに近かった。何が効いたのかは分からないですが、不安要素はなく、ダブルスに臨むことはできた。当然多少のダメージはありますが、プレイに影響はありませんでした」

 ダブルスのツアータイトル数17を誇る28歳のストリコバは、伊達について「常に一緒にいて楽しい方です。オンコートもオフコートも楽しく過ごせるパートナーで、彼女とはオフコートでもいいコミュニケーションが取れている」と、15歳上のクルム伊達について語っている。今季はこの後、それぞれ別の大会に出場するため、2人が組むダブルスはこの東レが最後の試合になる。今後もペアを組むかはまだ話し合っていないというものの、ストリコバは「今後も一緒にやっていきたいし、グランドスラム優勝も可能性はあると思っています。彼女とは来年もいくつかトーナメントには出たいと思っています」と話している横で、クルム伊達は笑顔を見せながら「もう私と組んでくれないの?」とおどけてみせた。

 ダブルスの試合後の会見で、「復帰してから何が大きく変わったのか」を尋ねると、少し考える伊達に、パートナーのストリコバが「歳を取ったことでしょ!」とささやいて笑いを誘うと、苦笑いの伊達は「はい!歳を重ねました!もうすぐ44歳よ」と応じ、会見場が沸いた。そして、あらためて記者の質問に伊達はこう答えた。

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