クルム伊達公子が語った「モチベーションの源」 (2ページ目)

  • 辛仁夏●文 text by Synn Yinha
  • photo by AP/AFLO

 今季はシングルスにもダブルスにも積極的に出場してシーズンを戦っているクルム伊達にとって、今週行なわれている東レPPOテニスは20大会目だった。さすがにシーズン終盤は、鍛え上げてはいるものの、若い時とは違う40代半ばの肉体は、蓄積疲労により悲鳴を上げる時期だという。だが、かつて20代でツアー転戦していた時は、転戦自体にストレスを感じ、試合数も極力抑えて最低限の海外遠征をしていたことを振り返ると、37歳で現役復帰した後のクルム伊達がいかにテニスを楽しみ、過酷でもあるツアーを戦っているかが分かるというものだ。

「今季ここまでタフなスケジュールをこなしてきて、疲れが蓄積しているところです。私に限ったことではないですが、体力的には厳しい時で、どの選手もケガをしやすい時期でもあります。私もシングルス1回戦の試合途中で股関節に肉離れに近い筋肉の痛みを感じ、その後は思うような動きができなかった」

 16日のシングルス1回戦で元世界ランキング1位のビクトリア・アザレンカ(ベラルーシ)と対戦。第1セットは立ち上がりから調子が良く、軽快な動きで相手を封じ込めて先取。このままの流れで行くかと思われたが、本人曰く「好事魔多し」。第2セットは序盤から動けなくなってしまい、最後までそれを引きずって6-3、0-6、2-6の逆転負けを喫した。

「(前週の大会の)香港で悪かった肩は回復した状態で東レPPOに臨んだが、体調が良かった分、ハードに動いてしまったことで痛みが出たかもしれない。第1セット途中から違和感があり、第2セット第1ゲームで相手のサービスをリターンするときに右股関節に強い痛みを感じ、その後はナイフを突き刺すような痛みを感じるようになった。リタイアを考えなかった訳ではないが、私自身、負けることよりも途中でリタイアすることの方が避けたいことなので、ダブルスに大きな影響が出ないと判断して、試合を続けました」

 バルボラ・ストリコバ(チェコ)とのペアで出場したそのダブルスでは、ワイルドカードで出場したドミニカ・チブルコバ(スロバキア)、キルステン・フリプケンス(ベルギー)組に、3-6、5-7で競り負けた。

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