テニス界の新しい波。錦織世代が台頭中

  • 神仁司●取材・文 text by Ko Hitoshi photo by Ko Hitoshi

24歳の錦織ら、20代前半の若手が上位勢を脅かしつつある24歳の錦織ら、20代前半の若手が上位勢を脅かしつつある「若い世代による新しい波が来ている。彼らは、大舞台でトップ選手に勝つことができることをすでに証明してきている」(ジョコビッチ)

 08年から5年間は、フェデラー、ラファエル・ナダル、ジョコビッチ、アンディ・マリーの、いわゆる"ビッグ4"がグランドスラムやマスターズ1000大会のタイトルを分け合った。10代はもちろん20代前半の選手が、際立った結果を残せない状況が続き、世代交代は一体いつ訪れるのかと危惧されていた。

 しかし、昨年から変化が見られ、フェデラーが6位で13年シーズンを終え、昨年秋に腰の手術をしたマリーは、今シーズン戦列復帰をしたものの、ベストコンディションではなく"ビッグ4"時代はすでに終焉しつつある。

 現在は、ランキングポイント13130点の1位ジョコビッチと、12670点で2位ナダルが、6100点で3位のフェデラーを大きく引き離し、2強時代を形成している。

 もちろん錦織も、トップの勢力図の変化を察知している。

「今年、自分もいいプレーができているが、ラオニッチやディミトロフら若い選手も、トップ選手を倒している。少しずつ変化が見られるのはいいこと」

 追いかけられるフェデラーは、「グリゴル、ミロス、そして、圭らが、ドアをノックしているのを見られるのは嬉しい」と、レベルを上げてきた若手が、トップとの差を縮めてきていることを歓迎している。ウインブルドンでは、まだ上位勢が一枚上手であったものの、錦織らがさらに飛躍する未来が見えるようだった。

「すでに(グランドスラムの)準々決勝や準決勝には到達した。次のハードルを飛び越えられるかどうかが課題だ」(ディミトロフ)

「トップと戦う時の状況が、より分かってきている。自分はもっと良いプレーができると分かってもいる。ここまで来たら、貪欲にもっと勝ちたい」(ラオニッチ)

「もはやトップ選手とプレーする時に恐れはない。トップ選手から学ばなければいけないことは多いけれど、トップ4や5の選手に近づいていっている」(錦織)

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