全英ベスト16。錦織圭のサーブはどこが進化したのか?

  • 神 仁司●取材・文 text by Ko Hitoshi photo by Ko Hitoshi

 今シーズンの錦織は、サーブからのフリーポイントが目に見えて増えており、特に大事な場面で際立っている。ビッグサーバーではない錦織が、フリーポイントを数多く獲得できるようになったことは、初のトップ10入りの要因のひとつといえる。そして、サーブがより重要になるウインブルドンでも、それが有効にはたらいた。

「サーブが良ければ、すべての流れが良くなる。(自分は)リターンが得意ですけど、芝では(相手の)サーブをブレークするのはなかなか難しいので、やはりサービスキープに一番集中しないといけない。少しでも集中力が欠けると、芝では大きなミスにつながるので、しっかりサーブに集中することがカギだと思います」

 際どい勝負だった3回戦でも、効果的なサーブでのフリーポイントは見られた。たとえば、ファイナルセット第5ゲームで、錦織は、自分のサーブで15-40のピンチを迎えたが、そこからすべてファーストサーブを入れ、サービスエース2本とリターンミス2本、つまりフリーポイントだけでしのぎ、ゲームをキープしてみせたのだった。

 サーブのフリーポイントが増えたのは、サーブ練習への取り組み方法に起因すると錦織は語る。

「そんなに多く変えているところはないんですけど、少しずつ日々の練習量を増やしてはいます。スピードも前より出ていると思う。特にグラスだと何本かエースが取れたり、フリーポイントも結構取れているので、これからもサーブの練習を増やしてやっていきたい」

 ウインブルドン初のセカンドウィークとなった4回戦で、錦織は、第8シードのミロス・ラオニッチ(カナダ/ランキング9位)と対峙。第1ゲームのブレークを活かして第1セットを先取したのは錦織だった。

 だが、ラオニッチのサーブの「コースが読めなかった」と振り返った錦織は、その後一度もブレークをすることができず敗退。23歳のラオニッチは、ツアー随一のビッグサーバーで、4回戦では、ファーストサーブで最高時速226キロを叩き出し、セカンドサーブでも最高時速218キロを出して勝負をかけ、錦織の反撃を許さなかった。

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